2009年1月アーカイブ

メタボリック症候群とは

|
メタボリック症候群とは内臓脂肪型肥満に加えて、高脂血症、高血圧、高血糖などの症状を併せ持った、病気の手前の健康状態をいいます。一つ一つの症状が軽 くて病気と言えるほどではなくても、2つ以上の症状が重なった場合には動脈硬化に進行する危険性が飛躍的に高まります。またメタボリック症候群では健康な 人に比べて糖尿病には5倍、脳卒中には4倍かかりやすいことが分かっています。つまりメタボリック症候群とは内臓脂肪の蓄積によって生活習慣病にかかりや すくなっている「病気の予備軍」であり、早期に対処しなければ、生命に関わる重大な事態に陥る可能性が高いのです。
2005年に日本内科学会からメタボリック症候群の診断基準が発表されましたが、メタボリック症候群は最近発見された新しい病気というわけではありませ ん。かつて食生活や運動不足が原因で発症する病気は「成人病」と呼ばれていました。そしてその後には「生活習慣病」と呼ばれるようになり、呼び名や基準は 少しずつ変わりながら現在のメタボリック症候群と呼ばれるに至っているのです。
今日では中高年の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリック症候群に該当すると言われています。また子どものメタボリック症候群も深刻な社会問題 となっています。こういった状況を受けて、国では医療費削減のためにもメタボリック症候群の予防、改善を重要な対策と考えており、2008年4月からは医 療制度改革の一つとして特定健診制度を導入しています。

メタボリック症候群と原因

|

メタボリック症候群になる原因は主に生活習慣と考えられていますが、具体的に次のようなことが挙げられます。
まず食生活で高カロリーな食事ばかり摂ると、メタボリック症候群になりやすくなります。また偏食や不規則な食生活でも内臓脂肪を蓄積しやすくなります。メタボリック症候群の予防、解消のためには栄養のバランスの取れた食事を毎日三食、規則正しい時間帯で摂ること、そして野菜中心の食事に魚介類を取り入れ、肉類を取る回数を減らすことなどが理想です。
そして睡眠もメタボリック症候群の重大な原因です。一日7時間から8時間ぐっすり眠っていれば健康的な睡眠といえますが、睡眠時間が6時間以下や9時間以上の人に糖代謝異常が多く見られ、また睡眠不足の人が肥満になりやすいという報告もあります。睡眠は体の休息、ホルモン分泌に大きく関わっており、適切な睡眠時間を規則的に摂ることがメタボリック症候群の予防になります。
そして運動不足も健康には悪影響です。メタボリック症候群はカロリー消費や内臓脂肪の燃焼、ストレス発散のために運動は欠かせないことです。毎日無理のない運動を習慣的に行うことが大切です。
また過度なストレスも中性脂肪を増加させ、高血圧や高脂血症などになりやすくなります。運動や自分の趣味などでストレスを解消するようことが大切です。
タバコやお酒などの嗜好品もメタボリック症候群の重大な原因の一つです。特にたばこはメタボリック症候群の症状をさらに深刻にしてしまうため禁煙する必要があるでしょう。

生活習慣病やメタボリック症候群の増加が社会問題となる中、2005年には日本循環器学会、日本動脈硬化学会など8つの学会によって「メタボリックシンドローム診断基準」が公表されました。これによって日本人に即した診断基準が明確となり、自己診断が容易にできるようになりました。また近年日本で始まった特定健診制度の基準となるなど、メタボリック症候群の予防としても広く活用されています。
診断基準の一つは男性では腹囲が85センチ以上、女性では90センチ以上であることです。これはこの数値が内臓脂肪面積100平方センチメートルに相当し、内臓脂肪が過剰であると判断されるからです。基準ではこの状態にある人を「要注意」のレベルとしています。
そして2つ目として高脂血症では中性脂肪値が150mg/dl以上、またはHDLコレステロール値が40mg/dl未満に当てはまることです。3つ目に高血圧では収縮期血圧が130mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上であることです。そして高血糖では空腹時血糖値が110mg/dl以上であることです。
一つ目の腹囲基準に加え、高脂血症、高血圧、高血糖の基準値に2つ以上該当すればメタボリック症候群と診断されます。メタボリック症候群と診断された場合には一つ一つの症状が軽くても動脈硬化に進む危険率が高く、命に関わる重大な病気を招くと考えられます。
診断基準によって自分の健康状態を知り、メタボリック症候群の予防や改善に取り組むことが求められています。

メタボリック症候群の予防と早期発見のために、日本では2008年4月から特定健康診査が始まりました。これは政府における医療制度改革の一つであり、増え続ける医療費に歯止めをかけるための政策でもあります。厚生労働省では今後5年間でメタボリック症候群とその予備軍を10%減らし、国の医療費を年間約6兆円減らそうという目標をあげています。
特定健診は企業の健康保険や国民健康保険に加入している40歳から74歳までの本人とその扶養家族が、年に一度受ける健診です。医療保険者が責任を持って健診を実施することが義務付けられています。そしてこの健診制度によって中高年のほぼ全員が特定健診を受けることになります。
これまでにも団体や自治体などによって健康診断は実施されてきましたが、特定健康診査ではメタボリック症候群の概念を取り入れた内容である点で大きく異なっています。実際の健診ではメタボリック症候群の判定基準の一つである腹囲とLDLコレステロール値が追加されており、検査値を調べるだけではなく、メタボリック症候群を見つけるための本格的な健康診断となっています。また健診の結果が悪かった場合には医師や保険師、管理栄養士による「特定保健指導」によって日常生活についての指導を受けることになります。
メタボリック症候群は自覚症状がないまま進行する場合が多くあります。特定健診はメタボリック症候群の早期発見や予防だけではなく、一人一人の予防意識を高め、多くの人が健康的な生活を送ることも目的の一つです。

2008年4月から始まった特定健康診査では、健診の結果によって「特定保健指導」を受けることになります。近い将来メタボリック症候群や生活習慣病になる恐れがあると判断された人に対し、生活習慣の改善を行うことを目的としています。
この特定保健指導に該当する人は、まず腹囲が男性で85センチ以上、女性では90センチ以上に当てはまる人です。また、肥満度や血糖値、コレステロール値、血圧の測定値が悪い人も保健指導に該当します。
実際の保健指導は医師、保健師、管理栄養士によって行われます。健診の検査値と診断によって「情報提供」「動機づけ支援」「積極的支援」と三段階にレベルを分けて指導が実施されます。
本格的な指導が行われるのは「動機づけ支援」「積極的支援」の2つで、「積極的支援」は早急に生活習慣の改善が必要と判断された人に行われる指導です。個別面談やグループ指導、電話やメールなどによって、3か月から6か月にわたって保健指導が実施されます。6か月後に生活習慣が改善されたかどうかが判定されますが、検査値が正常になるまで毎年指導を受けることになります。
「動機づけ支援」は「積極的支援」をするほどでもないが、近い将来メタボリック症候群になる可能性が高いと判断された人に行われます。個別面談やグループによって保健指導が実施されます。
特定保健指導はまだ始まったばかりですが、メタボリック症候群の予防だけではなく、生涯にわたる有効な健康管理に役立つものとして効果が期待されています。

メタボリック症候群と食生活

|

食生活はメタボリック症候群の大きな原因の一つです。食生活は毎日の積み重ねによって健康へ大きな影響を与えます。そのためメタボリック症候群を予防、改善するためには、まず食生活を見直すことが第一です。
メタボリック症候群の予防で大切なことは食事全体のカロリーを抑えることです。そのためには糖質を控え、揚げ物や甘いものを避ける必要があります。また野菜を毎食摂り、栄養のバランスに配慮することも必要です。
特別に食事メニューを考え、サプリメントを利用する方法もありますが、揚げ物が食べたい時には衣を薄めにするか衣をとって食べる、麺類の汁は残す、食事全体の味付けを薄くするなど、調理や食べ方に工夫することで改善できることも多くあります。
間食、夜食を避け、一日3度の食事を決まった時間に摂る習慣も大切なことです。食事の時間間隔が空き過ぎると脳や筋肉のエネルギーが不足します。反対に時間間隔が短いなど、深夜に食事を摂るとエネルギーが余り、余ったエネルギーは脂肪となって体内に蓄積されてしまいます。
過度な飲酒も厳禁で、休肝日を作ることも大切です。
また早食いは満腹感を感じにくいため食べ過ぎを起こします。食事はゆっくり、よく噛んで食べる習慣をつけましょう。
厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」では、健康的な食生活では何をどれだけ食べればよいかの目安が分かりやすく示されているため、毎日の食事メニューに活用するとよいでしょう。

メタボリック症候群と運動

|

メタボリック症候群の大きな要因の一つに運動不足があげられます。メタボリック症候群の原因である内臓脂肪は、皮下脂肪と比べてたまりやすく減らしやすいという性質があります。メタボリック症候群が多い中年以上は基礎代謝も落ち、どうしても内臓に脂肪がたまりやすくなります。特に現代は洗濯機、掃除機、電話、FAX、自動車などが普及し、家事でも仕事でもあまり身体を動かす必要がない生活になっています。このような生活は内臓脂肪を蓄積しやすい生活なのです。
そこで内臓脂肪を減らすためには食生活の見直しに加えて、毎日の運動習慣を徹底することが大切です。運動で身体を活発に動かすと消費エネルギーが増え、たくさんの血糖や脂質が消費されるようになり、内臓脂肪が減っていきます。そして血糖値や脂質異常、高血圧が改善され、メタボリック症候群の予防や改善につながります。
内臓脂肪を減らすのに効果的な運動は有酸素運動です。ウォーキングは続けやすく、毎日の生活に取り入れ安い方法です。またジョギング、水泳、サイクリングもお勧めの有酸素運動です。またこういった運動以外に日常生活の中で、通勤時に駅のエスカレーターを使わず階段を利用する、一駅分を歩く、買い物に自動車を利用せずに歩くなどの工夫をすることも、毎日続けることによって大きな効果が期待できます。
運動で大切なことは少しずつでも毎日続けることです。無理なく続けられる自分に合った運動を見つけるとよいでしょう。

メタボリック症候群と高血圧

|

メタボリック症候群の危険因子のうち、現在日本で最も該当者が多いのは高血圧です。血圧とは血管の中を血液が通る圧力のことですが、心臓が収縮して血液を押し出す時の最高血圧、収縮後に心臓が広がる時の最低血圧、このどちらが高くても高血圧となります。正常な血圧とされているのは最高血圧が130mmHg、最低血圧は85mmHgの範囲内です。腹囲基準に加えて、血圧がこれより高い場合にはメタボリック症候群と診断されます。
高血圧は自覚症状があまりなく自分で気付きにくい病気ですが、そのまま放置しておくと血管に負担がかかって動脈を傷め、心臓に負担をかけることになります。そして動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中など命にかかわる病気につながる可能性があります。
近年導入された特定健康診査では高血圧に関する検査が行われるようになり、高血圧を早期にみつけられるようになりました。
高血圧は生活習慣によってある程度改善ができるため、日頃から気を付けておくことが望まれます。食事で濃い味付けを好む人や揚げ物などの脂っこいものを好む人、野菜や果物を食べない人などは高血圧になりやすいため注意が必要です。さらに運動不足の人や飲酒、喫煙をしている人、家族に高血圧の人がいる場合も高血圧になる可能性が高いと言えます。
高血圧と診断された場合、血圧を正常に近づけるために食事では減塩に心掛けることが重要です。減塩は臓器を保護し、クスリの効き目を上げる効果もあります。魚は干物より生の魚を使い、漬物、梅干しなどはなるべく避ける、食事全体を薄味にするなど、家庭で食事を工夫して減塩を実行することが大切です。

メタボリック症候群と糖尿病

|

メタボリック症候群が進行することによって起こる病気の一つに糖尿病があります。糖尿病の患者は現在、日本全国で約700万人いると言われ、国民病とも言われています。
血液中にはブドウ糖が含まれ、体の細胞に不可欠なエネルギー源となっています。糖尿病とはこの血液中のブドウ糖が正常な人より多くなる病気で、ブドウ糖が一定以上を超えると尿に糖が出ることが多いことから「糖尿病」と呼ばれています。放置しておくと血管や神経、腎臓などの器官に影響を与え、命に関わる合併症を引き起こす恐れがあります。
糖尿病の症状は人それぞれで自覚症状がない場合もありますが、代表的な症状は疲れやすい、喉がすぐに乾く、体重が急に減る、頻尿、視力障害、手足の感覚異常、皮膚のかゆみなどがあります。
糖尿病は遺伝や生活習慣、加齢などが原因で発症します。日本人の糖尿病の95%は生活習慣が原因で発病するものだといわれています。
メタボリック症候群と診断された人は糖尿病でなくても血糖値が高いことが多く、心筋梗塞や脳梗塞で突然倒れる可能性があるため、早めに生活習慣を改善することが必要です。
そこでまず、食生活を見直すことが第一です。朝食をしっかり食べて夕食を軽めにする、間食や夜食は摂らない、お酒やお菓子を食べ過ぎないことなどを守り、血糖値を高くしないことが大切です。また毎日積極的に運動を行い内臓脂肪を燃焼すること、十分な休養と睡眠時間をとることも大切なことです。

メタボリック症候群の診断基準の一つに、高脂血症に関する基準があります。メタボリック症候群によって高脂血症という名前は知られていますが、実際にどんな病気なのか知らない人が多いようです。
高脂血症とは血液中のコレステロールや中性脂肪の割合が正常な状態と比べて高くなることです。高脂血症では血液がドロドロと粘り強くなり、高血圧や動脈硬化などさまざまな血管障害や病気を引き起こしやすくなります。
高脂血症は血液中の異常成分によっていくつかの種類に分けられ、代表的なものに「高中性脂肪血症」と「高コレステロール血症」があります。内臓脂肪が蓄積した状態で高脂血症になるとメタボリック症候群と診断され、生活習慣病や命に関わるさまざまな病気の引き金になることもあります。メタボリック症候群で注意すべき種類は高中性脂肪血症ですが、多くの場合、食事や運動によって改善することができます。
高脂血症は脂質や糖分の過剰な摂取を続けることによって起こることが分かっています。日本で高脂血症が増加している原因は、戦後日本の食生活が欧米化したことも一つと考えられています。日頃からお菓子やジュースをよく飲食する人、脂っこい食べ物が好きな人、飲酒が習慣になっている人、インスタント食品やスナック菓子をよく食べる人は高脂血症になりやすいため注意が必要です。
高脂血症は自覚症状がないため、日頃から健康管理をしっかり行い、定期健診の結果に注意することが大切です。

メタボリック症候群が進行すると、さまざまな生活習慣病になる可能性が高まります。
メタボリック症候群が進行した病気の一つ、狭心症では血管の流れが悪くなることによって胸部に強い痛みが生じます。痛みの頻度や持続時間、強さが増して急性心筋梗塞に移行することもあります。
心筋梗塞は血栓によって血管が塞がれ、そこから先へ酸素や栄養が送られなくなり壊死するものです。中でも急性心筋梗塞では死亡率が高くなっています。
脳卒中は脳梗塞や脳出血を総称した病名ですが、動脈硬化によって脳の血管が詰まり、その先へ酸素や栄養が届かなくなり壊死してしまう病気です。発作は突然起こる場合と少しずつ症状が現れる場合があります。メタボリック症候群の人は血栓ができやすい状態にあり、脳卒中を発症する危険性が高いと言えます。
メタボリック症候群の人が手足にしびれや痛みを感じたら閉塞性動脈硬化症の疑いがあります。動脈硬化の中でも特に下肢に血行障害が起こったものを閉塞性動脈硬化症といいます。症状が悪化すると足に潰瘍ができて壊死する場合もある恐ろしい病気です。
またメタボリック症候群によってインスリン抵抗性がおき、血糖値が高い状態が続くと腎機能が低下します。また血圧と腎機能が深く関わっていることから、メタボリック症候群では腎機能障害が起きやすくなります。
この他にもメタボリック症候群は脂肪肝や高尿酸血症、痛風、睡眠時無呼吸症候群などの生活習慣病と深く関わっています。生活習慣病の予防のためにもメタボリック症候群のうちに改善することが大切なのです。

メタボリック症候群と喫煙

|

喫煙とメタボリック症候群の原因である内臓脂肪とは深い関わりがあります。たばこに含まれるニコチンがインスリン抵抗性を生じさせ、その結果メタボリック症候群を引き起こしやすくなるのです。
実際に喫煙している人がメタボリック症候群にかかる危険性は、喫煙していない人に比べて1,2倍であることが分かっています。また一日あたりに吸うたばこの本数に比例して危険性は高くなり、特に一日に40本以上吸っている人は飛躍的に危険性が高まります。
しかし禁煙すればすぐにメタボリック症候群の危険性がなくなるわけではありません。喫煙時の本数が少なければよいのですが、一日20本以上吸っていた人はその後20年間メタボリック症候群にかかる危険性は変わらないと言われています。一日40本以上吸っていた人ではその後20年以上、危険性の高い状態が続くと言われています。
たばこは生涯一度も吸わないことが理想ですが、既に喫煙が習慣になっている場合には一刻も早く禁煙することが求められます。しかし、たばこの成分であるニコチンには麻薬と同じくらいの依存性があるため、禁煙することは容易ではありません。ニコチン依存には身体的なものと心理的なものとあり、後者の方が深刻でニコチン依存症と呼ばれています。禁煙後何年かしてから喫煙を再開する人がいるのはこの依存症のためです。
禁煙するためには強い意志と自己努力が必要です。また近年ではニコチン依存症の人に対して医療保険を用いた治療が受けられるようになっており、利用するのも一つの方法です。

メタボリック症候群の解消には栄養をバランスよく体に取り入れること大切です。毎日の食事で全ての栄養を摂ることができればよいですが、独り暮らしや忙しい人には難しいことです。そこで、そういう人にはサプリメントを利用する方法がお勧めです。
近年では西洋医学の治療や薬に頼らない「代替療法」が注目を集めています。サプリメントなどの健康食品を利用することも代替療法の一つで、手軽で効率的に栄養が摂取できる方法です。
メタボリック症候群に効果的なサプリメントは「総合ビタミン」です。総合ビタミンには疲れやすい、だるいという症状を改善し、体調を整える働きがあります。特にダイエットをしている人は栄養不足になりがちですが、このサプリメントを摂ることによって不足しているビタミンを補うことができます。
またメタボリック症候群による動脈硬化や脳梗塞が心配な人には「ビタミンE」や「ビタミンC」のサプリメントがお勧めです。「イチョウ葉エキス」も脳の血流を改善する働きがあります。
サプリメントは便利で頼りになる食品ですが、反面、サプリメントをめぐるトラブルも後をたちません。近年、中国から輸入された健康食品によって死亡者が出た事故は記憶に新しいでしょう。サプリメントは薬ではないため、自分の判断で購入することになります。現在はさまざまなメーカーからサプリメントが販売されていますが、購入する際には安全面で十分に信頼のできるメーカーを選ぶ必要があります。特に初心者は10年以上の実績があるメーカーや大手メーカーのサプリメントを選ぶようにしましょう。

メタボリック症候群と歯

|

メタボリック症候群と歯は密接に関わっています。一見無縁のように思われるこの2つですが、近年の研究では歯周病の人はメタボリック症候群や生活習慣病になりやいということが明らかになっています。
歯周病とは歯周病菌によって引き起こされる感染症です。歯周病菌は歯と歯ぐきの間などの空気に触れないところに付いてどんどん奥へ入り込んでいきます。歯周病菌は毒性が強く、強烈なにおいを持っているのが特徴です。
歯周病菌をそのまま放置しておくと血管を通って体のあちこちへ渡り、動脈硬化を引き起こすなどの悪さを働きます。実際に心筋梗塞の人の患部から歯周病菌が発見されています。
また、肥満予防のためには自分の歯でしっかり噛んで食べることが重要ですが、一方で肥満の人は普通の人に比べて3倍から4倍歯周病になりやすいという調査結果もあります。さらにメタボリック症候群の基準に取り込まれている内臓脂肪、高血糖、高脂血、高血圧は食生活と深く関与していることからも、栄養をしっかり体に取り込むために健康な歯であることが大切なことです。
また、喫煙はメタボリック症候群を悪化させるだけでなく、歯周病にもなりやすくなります。歯の健康のためにも禁煙が大切だと言えます。
メタボリック症候群の予防では食事や運動などが重視され、歯のケアは忘れがちです。歯周病やむし歯は正しいケアによって予防ができるものです。健康で毎日食べ物を美味しくいただくためにも歯のケアをしっかり行いましょう。

数年前、睡眠時無呼吸症候群という病気が一時話題になりました。この病気は肥満の人がなりやすい病気で、メタボリック症候群の人にも患者が多く見られます。
睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に呼吸が止まる病気で、睡眠中に10秒以上呼吸が止まる無呼吸状態が1時間に5回以上、あるいは7時間の睡眠中に30回以上ある場合に診断されます。
睡眠時無呼吸症候群は肥満が大きな原因ですが、それは肥満の人は喉の周辺に脂肪がたくさんついており、仰向けに寝た状態では気道が狭くなり、いびきや無呼吸が起こりやすいためです。皮下脂肪だけではなく、内臓脂肪が多い人も注意が必要です。
睡眠中に呼吸が止まって窒息死することはありませんが、酸素が取り込まれなくなることによって心臓や血管に負担がかかり、高血圧、高脂血症、心筋梗塞や脳血管障害などの危険性が高くなります。また無呼吸状態で睡眠が分断されるため睡眠不足になり、朝になっても疲労感や頭重感が残り、昼間の仕事に支障をきたすことも大きな問題です。さらに睡眠不足によりホルモンのバランスが崩れ、満腹感を感じる満腹中枢が正常に機能せず、肥満の人がさらに食べ過ぎを起こしてしまうという悪循環を招きます。
ほとんどの場合自覚はありませんが、毎朝起きても熟睡感がない、日中集中力が低下している、夜間に頻尿もあるなどの症状があれば注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群は治療により改善しますが、肥満の人で睡眠時無呼吸症候群である人は脂肪を落とすことで改善する場合が多くあります。

メタボリック症候群と飲酒

|

メタボリック症候群の大きな要因の一つが食生活であることは知られていますが、中でも飲酒はメタボリック症候群と密接に関係しています。近年の調査では、週に4回以上飲酒している人にメタボリック症候群が多いということが明らかになっています。
お酒に含まれるアルコールは体内に入ると1グラム当たり5カロリーから7カロリーになり、糖質やたんぱく質よりも高くなります。お酒は「エンプティーカロリー」と言われ、カロリーはあっても栄養をほとんど含まない飲み物です。適度なアルコール摂取は新陳代謝を促進して体熱を上昇させる効果がありますが、飲み過ぎは摂取カロリーだけが増えて、メタボリック症候群の要因となります。
またお酒のカロリーは低くても、アルコールに食欲を増進する効果があることが問題となります。お酒と一緒に出されるおつまみは一般的に塩分の高いものや脂っこいものが多く、毎日食べるとメタボリック症候群の危険性が高くなります。
一日の適量は女性ならビール1缶、男性ならビール中瓶1本程度で、週に2日は全くお酒を飲まない休刊日を作るとよいでしょう。
また飲酒をしたらその分食事を控えて食事の合計カロリーを抑えることも大切です。飲酒の席では会話を楽しみながら時間をかけて飲み、おつまみには良質のたんぱく質、野菜、海藻を選んで栄養バランスをとることによって飲酒の量を抑えることができます。
飲酒は「百薬の長」とも言われますが、健康を考慮して飲みすぎないことが大切です。

メタボリック症候群と子ども

|

近年、子どもの肥満とメタボリック症候群の増加が問題になっています。国の調査では子どもの肥満は30年前と比べると約2倍に増え、現在では10人に1人が肥満児という状況になっています。
子どもの肥満も重度になると生活習慣病になる危険が高まります。また子どもの肥満の70%は大人期へ移行すると言われています。子どもの頃に身についた生活習慣を大人になってから変えることは難しいものです。そのため早めに対策を行うことが望まれます。しかし、子どもが自分から生活習慣を変えることは無理なことでしょう。そこで生涯にわたる健康を築く上で重要な子どもの時期に、大人がよい生活習慣を身につけさせることがとても重要なのです。
子どものメタボリック症候群の原因には不規則な食生活、高カロリーな食べ物の摂りすぎ、運動不足、ストレスなどが挙げられます。そこで予防、解消のためにはまず食生活の見直しが必須ですが、大人と違って成長期であることを考慮した食事が必要です。摂取カロリーを落とさず、栄養のバランスを保ちながら糖分や油を抑えた食事など、栄養面で十分注意をしましょう。
朝食を食べない子どもや、外遊びをせずにうちの中でゲームに没頭する子ども、毎日好きなおやつを買い食いする子どもなどが増えています。子どもを取り巻く環境は昔に比べてメタボリック症候群になりやすい環境にあると言えます。子どもの生活を改善するためには、子どもだけではなく家族が一緒に取り組むとより効果的です。

メタボリック症候群と漢方

|

近年では西洋医学に代わる代替医療を求める動きがありますが、中でもメタボリック症候群では漢方による治療が注目を集めています。
漢方とは中国から伝わった医学に日本人が手を加えたもので、漢方薬によって治療が行われます。メタボリック症候群で処方される漢方薬の代表的なものには九味半夏湯加減方、防風通聖散などがあり、薬局でも手に入れることができます。
九味半夏湯加減方は代謝を促進する働きがあり、内臓脂肪を減らすのに効果的です。また血圧低下や血糖降下作用もあります。
防風通聖散は体内の水分循環を改善する効果があり、高血圧を改善します。
血圧、脂質、血糖に著しい異常値が示された場合には薬が処方されますが、薬を飲むほどの値ではないという場合もよくあります。そのようなときに正常値へ近づける手助けとして漢方薬が利用されることがあります。
またメタボリック症候群の予防、改善のためには生活習慣を見直すことが必要ですが、実際には生活習慣を改善することは容易ではありません。そこで漢方薬を補助的に利用してメタボリック症候群を効果的に予防することができます。
漢方薬は天然の材料から作られているもので、一般的な薬に比べて即効性はありませんが、副作用や身体への負担が少ないという点で優れています。じっくりと体質を改善し、徐々に効果を発揮するものです。漢方薬でじっくりと体質を改善し、ゆっくり内臓脂肪を燃焼させる方法は身体にとっても優しい方法だといえます。

メタボリック症候群と痛風

|

メタボリック症候群と関わりが深い病気の一つに痛風があります。痛風とは文字通り「風が吹いただけで痛む」病気で、ある日突然体の一部が激痛に襲われる病気です。この発作は足の親指の付け根に現れることが多く、人によってはひじやひざ、かかとに現れることもあります。発作は短期間、長くて1週間から2週間続き、その後は自然におさまります。しかし発作が起こらなければ治ったということではなく、体内で進行していることもあります。治療をせずに放置しておくと痛風結節や、腎障害、腎不全、尿毒症など、命に関わる病気につながる危険性があります。
痛風は尿酸の代謝異常によって起こります。尿酸の原料は「プリン体」と呼ばれるもので、体内では常にプリン体がつくられている他、ビールなどの食品にもプリン体が含まれています。プリン体を含む食品を食べすぎると、体内で異常にプリン体がつくられることによって尿酸が増加するのです。
痛風の発作を繰り返すとメタボリック症候群や生活習慣病になりやすくなります。ほとんどの生活習慣病は食生活による肥満が原因であることから、痛風の予防としては食べ過ぎないこと、栄養のバランスの摂れた食事をすることが重要です。
尿酸値は近年始まった「特定健診」の中でも検査項目の一つであり、痛風になる可能性を表しています。痛風とまではいかなくても、尿酸値が高い場合には日常生活で食事に十分注意をすることで改善できる場合もあります。

メタボリック症候群では運動をすることが有効な解消法ですが、中でもお勧めなのがウォーキングです。
ウォーキングは有酸素運動の一つですが、有酸素運動により身体を活発に動かすと、エネルギーとしてまず血液中の糖分、次に肝臓や筋肉の中のグリコーゲン、そして脂肪細胞の中の中性脂肪という順番で使われていきます。このとき、皮下脂肪より先に内臓脂肪が消費されるためメタボリック症候群の解消が期待できます。
毎日決まった時間にウォーキングをする方法もありますが、なかなか続かないという人は移動の手段にウォーキングを組み込む、エレベーターを使わず階段を利用するなど、日常生活のさまざまな場面で工夫をする方法は続けやすく効果的です。
ウォーキングでは20分続けると脂肪が燃焼し始めると言われますが、内臓脂肪を減らすためには最低でも一日合計60分は歩くことが望まれます。ただし最初は無理をせず、それぞれの体力に合わせて目標を決めて徐々に歩数を増やすことが大切です。慣れてきたら、歩幅や姿勢に注意しながら歩くとより心身に負担をかけずに効果を高めることができます。
ウォーキングの姿勢は背筋を伸ばし、歩幅は少し広めに取り、腕は大きく振るように心掛けます。姿勢を正すことで怪我や身体の負担を軽減することができます。
ウォーキングはメタボリック症候群の解消だけではなく、健康増進やストレス発散、持久力向上などさまざまな効果が期待できる運動であるため、ぜひ毎日の習慣にしたいものです。

メタボリック症候群の多い40代、50代に現れる最も大きな身体の変化は筋肉の衰えです。筋力が衰えると基礎代謝が減り、その分エネルギーが脂肪として体に蓄えられてしまいます。また、ダイエットのためにどれほど運動をしても、身体の基本となる筋肉が少なければ効率的に脂肪を燃焼することができません。
そこでメタボリック症候群の予防のためには、筋肉トレーニングがとても重要になります。
筋肉は正しいトレーニングを積み重ねることによって確実に発達します。しかし必ずしもスポーツジムに通い、高価なトレーニングマシンを購入する必要はありません。縄跳びや腕立て伏せ、腹筋など自宅で簡単に実践できるもので十分効果をあげることができます。
内臓脂肪を減らすための筋肉トレーニングは、激しいものよりも軽度から中程度のレベルが適しています。むしろ肥満やメタボリック症候群の人が激しい筋肉トレーニングを行うと、心臓や血管に負担をかけることになり危険です。自分で少々キツイと感じる程度、余裕を持ってペースを維持できる程度が最適なレベルです。
また筋肉トレーニングの前後には、ストレッチを行って筋肉をリラックスさせることも大切なことです。
そして慣れるまでは最低でも一日空けて筋肉を休ませるようにします。筋肉は休息期間に修復され、より強い筋肉に発達するのです。これを怠ると筋肉は発達するどころか縮んでしまいます。筋肉トレーニングに慣れてきたら一日筋トレを10分、その後にストレッチや有酸素運動を組み合わせ、合計20分程度の運動習慣をつけることが理想的です。

メタボリック症候群は内臓脂肪の蓄積が大きな要因の一つです。そのためメタボリック症候群を解消するためにはダイエットによって内臓脂肪を減らすことが第一です。
メタボリック症候群解消のためのダイエットにはさまざまな方法がありますが、食事制限をする方法は、その後にリバウンドを起こしやすくなります。また、筋肉が脂肪に置き換わり、やせにくい体になってしまいます。そのため、ダイエットを成功させるためには食事と運動の両面から、時間をかけて内臓脂肪を減らすことが大切です。
ダイエットを成功させるために、記録ノートを作成することがお勧めです。腹囲、体重、血圧の他、毎日の食事、運動の内容など、何でも書き残しておきます。そして数日ごとにノートを見直し、改善するべき点を検討して対策を立てます。
甘いお菓子や揚げ物が好きな人にとってダイエットは辛いことでしょう。またそれまで運動習慣のなかった人が運動をすることは強い意志が必要です。最初はメタボリック症候群解消のためと意気込んでいても、日が経つにつれて挫折しそうになることがあるかもしれません。そういう時には投げやりにならず、誰のためでもなく自分自身や家族のためと冷静に考えることが大切です。時には自分へご褒美を与え、楽しみながら行うとよいでしょう。
近年ではスポーツジムやメンズエステなどでメタボ解消コースが設けられています。自分だけではダイエットが続けられない人はコーチや仲間がいることで心強く、楽しくダイエットを続けることができるでしょう。

メタボリック症候群とグッズ

|

現在メタボリック症候群が社会問題となっていますが、近年特定健康診査が導入され、次々とメタボ解消グッズが販売されるようになりました。その種類は食品からお茶、サプリメント、体重計、運動機器に至るまで多様です。
中でも家庭で検査できる機器は自己管理に便利で人気があります。メタボリック症候群は日常生活に問題があることが多いため、自分の体のデータを継続的に知ることは自己管理に役立ちます。自分で体脂肪を測ったからといってメタボリック症候群が解消するわけではありませんが、自分の体を知り、健康管理の習慣がつくという意味ではとても有意義なものです。
家庭用の体重計では多機能で優れたものが次々に販売されています。メタボリック症候群の人にお勧めなのは、体脂肪、内臓脂肪、基礎代謝、筋肉量、推定骨量などを測定できる機器です。自分で測ったデータを数か月間残しておくことができます。家庭で測れる血圧計、尿糖計、心電図計なども検査値が気になる人は積極的に利用するとよいでしょう。
またダイエットグッズはもともと豊富な種類が販売されていましたが、近年メタボリック症候群が注目を集めるとともに、いっそう市場が過熱しているようです。乗馬マシーンや振動マッサージ器などが人気を集めています。
他にもさまざまなグッズがありますが、メタボリック症候群の解消のためにはグッズに頼りすぎないようにしなければなりません。一番大切なことは生活習慣の見直しであり、グッズはその補助的なものとして取り入れると効果的です。

現代はストレス社会と言われていますが、ストレスはメタボリック症候群と深く関わっています。
適度なストレスは脳の刺激になりますが、過度なストレスは体に悪影響です。過度なストレスによってイライラし暴飲暴食が続くと、肥満やメタボリック症候群の危険性が高まります。なぜなら脳がストレスの影響を受けるため、食欲中枢の働きがうまくできなくなるからです。
またストレスによって飲酒の量やたばこの本数が増え、睡眠不足を起こすなど、メタボリック症候群の大敵である不健康な生活習慣につながりやすくなります。
さらに体を守ろうという脳の働きにより、血液中のコレステロール濃度が高くなり血液をドロドロの状態にしてしまいます。ドロドロの血液の状態では高血圧、脂質異常を起こすなど、ますますメタボリック症候群の危険性が高まります。
できるだけストレスはため込まず、早く解消することが大切で、悩みがあれば信頼できる人や専門家に相談して早めに解決するようにしましょう。
ストレスの解消方法は自分に合った方法が一番ですが、メタボリック症候群の人にお勧めなのは運動です。体を動かすことに集中し、ストレスの原因を一時忘れて気持のよい汗をかけば、ストレス発散と同時に内臓脂肪を燃焼し、メタボリック症候群の解消が期待できます。
また自分の好きなことを思いっきりすることもストレス解消に効果的です。旅行やカラオケ、音楽など自分の好きなことを見つけ、時には思いきり楽しむこともよい方法です。

メタボリック症候群と糖尿病

|

メタボリック症候群は放置しておくと生命に関わる重大な病気に進行する恐れがありますが、糖尿病もその一つです。
体の細胞にはエネルギー源として血液中に含まれるブドウ糖が必要です。ブドウ糖は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの作用によって細胞内に取り込まれてエネルギー源となり、血糖値が上昇するとインスリンが多く分泌され、血糖値を一定の範囲におさめるように調整しています。糖尿病とはこのインスリンの分泌不全、インスリン抵抗性によって血糖値を調整できない病気のことをいいます。放置すると意識障害やさまざまな合併症などで命を落とす危険性のある恐ろしい病気です。
糖尿病は日本人に多く、遺伝、加齢、生活習慣などが原因で起こります。遺伝、加齢による発病は避けられませんが、日本人の糖尿病の95%は生活習慣が原因だといわれています。
そこで糖尿病を予防するためには、まず食生活を見直すことが第一です。食べ過ぎ飲みすぎは厳禁で、朝食をしっかり摂り夕食を軽めにする、間食や夜食はしないなど、血糖値を高くしない対策が必要です。そして毎日の運動習慣を徹底し、十分な休養と睡眠時間をとることも重要なことです。ストレスや喫煙もメタボリック症候群を悪化させるため注意が必要です。
糖尿病は自覚症状が少なく発見が遅れがちですが、現在では特定健診で早期に発見できるようになりました。メタボリック症候群のうちに生活を改善し、糖尿病を予防することが大切です。

メタボリック症候群と腹囲

|

メタボリック症候群の診断基準では腹囲が重要なポイントです。男性では85センチ以上、女性は90センチ以上であることが目安とされていますが、これはこの腹囲が内臓脂肪面積100平方センチメートルに相当すると推定されるためです。女性の方が男性より基準が大きいのは、女性は女性ホルモンの作用によって皮下脂肪がつきやすい体質であるからです。また、この腹囲による基準は世界でも国によって異なり、アメリカでは男性102センチ以上、女性は88センチ以上となっています。これは、アメリカ人は内臓脂肪がつきにくく、皮下脂肪が付きやすい体質だからです。
腹囲が大きいからといって必ずしも内臓脂肪が多いというわけではありません。腹囲の計測でメタボリック症候群と診断されたら、次にCT検査によって正確な内臓脂肪面積を測定することになります。
メタボリック症候群を予防するためには自分で定期的に腹囲を測定するのもよい方法です。その場合、正確な腹囲を測るために注意することがあります。
まず、腹囲は食事の前後で誤差があるため、空腹時に計測するようにします。計測には布製メジャーを使い、位置はおへその高さで水平に図ります。姿勢は両足を揃えて立ち、腕を両側に下げリラックスします。そして軽い呼吸をし、呼吸の終わりに計測するようにします。
メタボリック症候群の予防には自己管理が大切です。特定健診以外にも自分でも腹囲を測定することによって、腹囲の変化やメタボリック症候群の兆候に早く気がつくことができるでしょう。

メタボリック症候群と薬

|

近代は医学が進歩し、薬によってあらゆる症状を改善することができるようになりました。しかし薬には必ず副作用があり、人の体に少なからず負担をかけてしまいます。一般的にメタボリック症候群の予防、改善には一に運動、二に食事、三に喫煙、最後に薬と言われます。メタボリック症候群の治療は内臓脂肪を減少させることが基本ですが、内臓脂肪を減少させる薬はまだ日本にはありません。メタボリック症候群は生活習慣が原因であるため、生活習慣を改善すれば内臓脂肪は減少し、薬は必要ないのです。つまり自己努力によって生活習慣を改善し、できるだけ薬を飲まないでメタボリック症候群を改善することが望まれます。
しかし糖尿病、高血圧、脂質異常などは症状や進行度合いによっては運動、食事だけでは改善が見込めず、どうしても薬が必要な時があります。その場合は薬が処方されますが、受け取る時に医師や薬剤師の説明をよく聞いておくことが大切です。特に飲む量と時間、副作用については薬を飲む前にしっかり頭に入れておく必要があります。
また薬には飲み合わせると思わぬ副作用が現れる危険な組み合わせがあります。医師や薬剤師が処方する薬は飲み合わせが考慮されているため安心ですが、自分で勝手に市販の薬を飲む行為、2つ以上の病気を持っていて別の病院で処方された薬を飲む場合などに注意が必要です。
医師から処方された薬を飲むときには、他に服用している薬を報告し、自己判断で別の薬を飲まないことが大切です。

メタボリック症候群と医療費

|

近年日本では特定健診制度が始まり、国におけるメタボリック症候群の予防対策が強化されましたが、その背景には日本の医療費の増大があります。
現在、日本の医療費は年間30兆円を超えています。また今後高齢化社会が進むにつれて、さらに医療費は増え続けていくことが予想されています。メタボリック症候群が進行してさらに深刻な病気にかかると、その治療に高額な費用がかかります。メタボリック症候群の段階で対策を行うことによって国の医療費が抑えられると同時に、各家庭における医療費も抑えられるのです。
増大している医療費の内訳をみると、約3割は生活習慣病、中でも糖尿病に関連した費用が最も多くなっています。そこでメタボリック症候群の人を減らすことが医療費の抑制につながると考えられるのです。
社会保険庁の調査では、肥満、高血圧、高コレステロール、高血糖の4つについて異常がある人は、異常がない人に比べて10年後の医療費が3倍以上になると予想されています。また喫煙、肥満、運動不足などの不健康な生活習慣によっても医療費は増大すると予想されています。そこで特定健診制度では専門家による運動や食事療法を取り入れ、効率的に生活習慣の改善を図り、生活習慣病を予防することを目指しています。
特定健診は医療保険者が責任を持って実施していくことが義務付けられています。メタボリック症候群とその予備軍の数が5年後には平成20年度時点の10%減、10年後には25%減になることを目標としています。

メタボリック症候群の増大が社会問題となる中、2005年には厚生労働省と農林水産省によって「食事バランスガイド」が策定されました。
内臓脂肪の蓄積が原因で起こるメタボリック症候群では、食生活を見直すことが重要な対策です。しかし具体的な食品や量の目安が身近なところになく、栄養の知識が少ない人や外食の多い人などは栄養のバランスを考えて食事をすることが困難でした。これまでにも政府によって食事の指針が示されていましたが、あまり国民には知られていませんでした。
現在、食事バランスガイドはスーパーなどでポスターやリーフレットで目にする機会が増えています。スーパーでは少し目を止めて家庭でのメニューの参考にし、その場で買い物に生かすことができるでしょう。
食事バランスガイドは、栄養の知識が少ない人でも理解できる内容になっています。イラストはバランスを崩しやすいコマがイメージされ、どの食品が欠けるとバランスを崩しやすいかがすぐに分かります。
内容は食品を6つの区分に分け、それぞれ一日に摂る量の目安を数で示しています。どの食品がどの区分に入るかは一目でわかるようになっています。自分の食事内容と比較して、不足しているものと摂りすぎているものを簡単に知ることができます。
食事バランスガイドはメタボリック症候群の予防だけではなく、子どもの食育にも活用できる内容です。
それぞれの立場で食事バランスガイドを有効に利用し、メタボリック症候群の危険のない健康な食生活を目指しましょう。

睡眠は体と脳を休ませるために欠かせないもので、健康維持に大きな役割を果たしていますが、メタボリック症候群とも少なからず関係しています。
必要な睡眠時間には個人差がありますが、多くの人は8時間眠れば十分だと言われます。
質の良い睡眠を十分に摂ると新陳代謝が促され、昼間疲れた体を修復することができます。またストレスを発散する効果もあります。
ある調査によれば、睡眠時間が4時間以下の人は7時間から9時間眠る人に比べて、肥満になりやすいという結果が出ています。また5時間眠る人は8時間眠る人に比べて血液中の食欲刺激物質の量が少ないという結果があります。こういったことから、起きている時間が長いとつい食べ過ぎてしまい、睡眠不足が続くとホルモンのバランスが崩れて満腹中枢が正常に機能しなくなるため、食べ過ぎを起こしてしまうと考えられています。
また、睡眠時間が短い中高年に高血圧の人が多いという研究結果もあります。睡眠時間が十分とれている人は心拍数が低下して血圧が降下しますが、睡眠時間が短い人は心拍数が高くなり心血管系の負担を大きくするのです。
さらに、睡眠不足は集中力の低下や感情のコントロール力の低下など、生活のさまざまなところで悪影響を及ぼします。
近年注目されている睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が止まる病気ですが、睡眠が分断されるため睡眠不足に陥ります。肥満が原因で発症することが多い病気で、メタボリック症候群の人は注意が必要です。

ウェブ広告

Powered by Movable Type 4.25